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アメリカではさまざまな企業形態 (Entity
Type)
によりビジネスを行うことができます。この中で、最も有利な企業の形態を選択するのがここでの課題です。企業の形態を決定する上で重要な要素は(1)個人の無限責任の回避、(2)税法上の特典、(3)オペレーション・コスト、(4)ビザ取得の容易性です。
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無限個人責任の回避 |
ビジネスが訴えられた時、ビジネスが他人に損害を与えた時、事業主の個人責任が追求されるかという問題です。 |
2 |
税法上の特典 |
どれだけ節税が可能かという問題です。 |
3 |
オペレーション・コスト |
企業が活動を行う時、さまざまな決定を下します。その決定がどれだけ低コストで行えるかという問題です。また、企業を売ることになった場合、売り易い形態、高く売れる形態は何かという問題です。 |
4 |
ビザ取得の容易性 |
ビザの種類によっては、その取得のために有利な企業形態があります。 |
注意:アメリカには2つの法律システムがあります。ひとつは連邦法(Federal
System)と呼ばれるものです。連邦法はすべての州で同じ取り扱いを受ける法律です。移民法や連邦税法は連邦法ですので、住んでいる州に関係無く同一のルールが適用されます。
反対にこのページで説明している「企業タイプの選択」は会社法と呼ばれる分野に入ります。そして会社法はその会社が設立された州の法律によって規制されています。よく「カルフォルニア会社法」とか「デラウェア会社法」と区別されるのはこのためです。筆者はカルフォルニア州の弁護士ですので、このページの会社法の記載(税法に関する記載を除く)はカルフォルニア州の法律に基づいています。
カルフォルニア州の場合、大きく分けて以下の企業タイプを選択することができます。
1. |
個人経営(Solo Proprietorship) |
2. |
C株式会社 (C-Corporation) |
3. |
S株式会社 (S-Corporation) |
4. |
パートナーシップ (Partnership) |
5. |
LLC (Limited Liability Company) |
この他にも、Close Corporation,
Professional Corporation, Limited Liability Partnership, Business Trust, Joint Venture,
Unincorporated Association等のタイプが選択可能ですが一般的でないので省略しました。これらの企業タイプをご希望の人は直接ご相談ください。
ビジネス上発生したすべての責任を個人が負うものです。たとえば、商取引で訴えられ$1,000,000の賠償責任が生じた場合、事業主に無限の支払い責任が課せられます。またE,L,H-B等のビザが必要な場合、個人経営の形態ではビザが取得できません。
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■二重課税の対象になりません。 ■設立が簡単です。
■オペレーション・コストならびに税務会計コストがCorporation比べ安くすみます。 |
■ビジネス上の負債・賠償責任に対し、事業主は無限の支払い責任を負います。 ■2人以上で資金を出し合うことができません。(ただし、妻と夫は1人とみなされます)。
■E,L,H-B等のビザが必要な場合、ビザが取得できません。 |
日本人がアメリカで起業する場合、最も一般的な形態です。ニューヨーク証券取引所に上場しているような大企業はすべてC
Corporationです。連邦税法の中の"Subchapter C"により税金がかけられるため、C-Corporation
と呼ばれています。
カルフォルニア州の場合、外国人でも設立できます。会社設立は株主が1人から、資本金の最低金額に定めはありません
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■個人の無限責任が回避できます。事業主が賠償しなくてはならない金額額は投資した額に限定されます。 ■E,L,H-1Bビザを取得したい場合、最も取得が容易です。
■将来ビジネスを売るときに、最も高く売ることができるます。
■ビジネスの成長過程で必要な資金の調達が容易で、将来株式公開も可能です。 |
■二重課税の対象となります。 ■オペレーション・フォーマリィティーが要求されるため、コストがかかります。
■税務会計処理が複雑になり、税務コストがかかります。 |
連邦税法の中の"Subchapter S"により税金がかけられるため、S-Corporation
と呼ばれています。S-Corporationは、簡単に言うと「小規模C-Corporationで二重課税が課されない株式会社」です。
カルフォルニア州の場合、税法上の外国人はS-Corporationを設立することはできません。ただし、すでにビザをもってアメリカで個人経営をしている日本人がS-Corporationを設立することはできます。(アメリカである一定期間生活をしている日本人は税法上、「外国人」とはみなされません)。
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■個人の無限責任が回避できます。事業主が賠償しなくてはならない金額額は投資した額に限定されます。 ■二重課税の対象になりません。
■E,L,H-1Bビザを取得したい場合、最も取得が容易です。
■将来ビジネスを売るときに、高く売ることができるます。 |
■設立時の制約があります。例えば、税法上の外国人は株主になることができません。 ■オペレーション・フォーマリィティーが要求されるため、コストがかかります。
■税務会計処理が複雑になり、税務コストがかかります。 |
二人以上の個人または企業が共同してビジネスを運営する形態です。カルフォル二ア州ではGeneral
Partnership, Limited Partnership, Limited Liability Partnershipの3つのパートナーシップが認められています。パートナーシップの問題点は、誰かが無限の個人責任を負わなくてはならないという点です。この点でLLCが勝っています。ただ業種によってはLLCの設立が認められない場合があります。例えば、会計事務所、弁護士事務所、設計士事務所等のサービス業の場合、LLCを設立することはできないことになっています。このためこのような業種の人はパートナーシップ、またはプロフェッショナル・コーポレーション(Professional
Corporation)を設立するのが普通です。
またアメリカ国内では、資金を出し合って不動産投資を行う場合パートナーシップ(特にLimited
Partnership)の形態が使われます。
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■二重課税の対象になりません。 ■設立が簡単です。
■オペレーション・コストならびに税務会計コストがCorporation比べ安くすみます。 |
■最低一人のパートナーが無限責任を負わなくてはなりません。(ただし、Limited
Liability Partnershipを除く)。 ■各々のパートナーが代理責任を負います。
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株式会社の利点(無限個人責任の回避)とパートナーシップの利点(二重課税の対象外)を掛け合わせたものがLLCです。LLCは連邦税法上はパートナーシップとして取り扱われるため、二重課税の対象になりません。またLLCは会社法上は株式会社として取り扱われれるため、個人の無限責任を回避できます。カルフォルニアの場合、外国人1人の場合でもLLCを設立することができます。
現在、アメリカ人または、すでにビザ(または永住権)を持っている日本人が、小規模ビジネスを展開する場合の主流は圧倒的にLLCです。ただし、これからアメリカに設立した企業をベースにL,E,H-1B等の就労ビザの取得を考えている場合はC-Corporationが有利です。
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■個人の無限責任が回避できます。事業主が賠償しなくてはならない金額額は投資した額に限定されます。 ■二重課税の対象になりません。
■設立が簡単です。
■ オペレーション・コストならびに税務会計コストがCorporation比べ安くすみます。 |
■これからビザの取得を考えている場合はC-Corporationの方が有利です。 ■LLCは日本語に翻訳すると「有限会社」となります。このため、日本サイドでの企業イメージを重視されるクライアントの中にはLLCを好まない方もいます。 |
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